公益社団法人 上方落語協会

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協会からのお知らせ

将来の名人に聞く 【桂恩狸・桂小留 編】

10年以上に渡りご愛読いただいた「んなあほな」がweb版に移行。
「将来の名人に聞く」のコーナーはそのままweb版でも引き継がれることになりました。
どんどん元気な若手を紹介したいと思います。

また以前紹介した若手が5年後10年後にどないなってんのんか…なんて、検証記事なんかも紹介させて頂ければとも思います。
どうかお付き合いの程宜しくお願いいたします。

さてさて、web版第一回に登場頂くのは桂恩狸(おんり)・桂小留(ちろる)のお二人。


【桂 恩狸】

【桂 小留】

それぞれの師匠、文福・小枝の両師は兄弟弟子ですから、二人は同期であり従妹同士ってことになります。そんな仲良しお二人に、笑福亭竹林がお話を伺いました。

 

竹林「それぞれ落語との出会いは?」

小留「僕は高校時代漫才師になりたかったんですけど、親から『取り敢えずは大学へ…』って言われて入学した関西大学の落語研究会が『漫才もできるでぇ』ってことで入部したのが落語との出会いです」

恩狸「浪人時代に朝ドラの『ちりとてちん』を見たのがきっかけで落語家に憧れるようになって、それで千葉大学に入学してすぐに落語研究会へ…」

竹林「二人ともなかなか優秀な大学出てんねんや。専攻は?」

小留「法学部です」

恩狸「僕も法律を…」

 

二人とも優秀な大学行っとります!法律学んどります!んで落語家になるやなんて…!
嗚呼…法律犯す以上の愚かな行為を…

竹林「実際にプロになることを意識したのは?」

小留「二回生の時に岐阜で行われてる『全日本学生落語選手権策伝大賞』で決勝に進出したのがきっかけでプロになることを意識するようになりました」

恩狸「三回生の夏、そろそろ就活を始めないかんのに就活する気にもなれへんし、そんな時浪人時代に「ちりとてちん」見て落語家に憧れた気持ちを思い出しまして…」

竹林「それぞれ師匠を選んだ理由は?」

小留「メディアで活躍したいって気持ちが強かったんですけど、落語家の系図見てみたら、テレビで馴染みのある方の中でうちの師匠だけがお弟子さん居てへん『よし、ここやったら一番弟子になれる!』って思いまして、学生時代から仲良くさせてもらってた華紋兄さんに相談したら『これまでお弟子さんがおれへんかったと思うか?居てへんはずないがな。それは修行が厳しいてやめはったってことかもしれんでぇ』って言われまして…『うっわ、そんなんなんも考えてへんかった』思たんですけど、そこは初志貫徹、最初にこの人や!思た師匠のところに行かせてもらいました。

恩狸「僕は大学の先輩の歌之助師匠に相談したら『生涯の師匠になるんやから、いろんな人の高座見て、この人や!って感じた人のところへ行ったらいい』ってアドバイスもらいました。それで大阪でいろんな落語会とか見て回ったんですけど、ある落語会でうちの師匠が誰よりも楽しそうに落語やってはって、客席も凄く盛り上がってて、それだけやなくてお客さんのお見送りの時まで丁寧にファンサービスしてはって…そんな師匠の姿見て『こんな人になりたい!』って思たんです。

竹林「修行は厳しかった?」

小留「いえそんなに厳しくなかったです。師匠はなんでも自分でやらはる方で「余計なことはしてくれんでもいい」って方でして、勿論厳しく叱られたこともありましたけど、修行が辛いなんてことはなかったです。」

恩狸「僕もそうですね。よく叱られましたけど、それが厳しいとか辛いとか感じることはなかったです。」

竹林「修行にはしくじりが付きもんやけど、大きなしくじりは?」

小留「そうですねえ…師匠はオン・オフ切り替えがはっきりしてる方で、修行も仕事場だけなんです。家に連れて帰ってもらうってことがないんで、今も師匠のお宅がどこにあるんか、どんなお家なんか、よう知らんのです。そやから長いこと師匠の奥さんのことも知らなかったんです。

彦八祭りで焼きうどん焼いてる時に一人の女性が入って来はって『誰かの奥さんなんやなぁ』思いながら挨拶もせんとおったら、どなたかが『小留、君とこの師匠の奥さんに焼きうどん上げてくれ』って言われて、そこで初めて師匠の奥さんやって分かって『初めまして。小留と申します』って挨拶したもんやから、周りにいてはる師匠方も『えぇっ!初めて会うたんか!知らなんだんか!』言うて驚いてはりました。師匠の奥さんに挨拶もせんと焼きうどん焼いてたんが、しくじりいうたらしくじりで…」

恩狸「僕は年季明けしてからですねんけど、去年の3月31日母校の高松商業が甲子園の選抜大会で決勝まで残って、その日はちょうど師匠の誕生日で一門が集まってたんですけど、途中で失礼して甲子園行ってしもたんです。

『どういうことや?!師匠の誕生日と野球とどっちが大事やねん!』ってえらい怒られてしもて、しばらく口利いてもらえなんです。

『どうしたらええんやろ…』って悩んでる時に姉弟子のぽんぽ娘姉さんからも『師匠の誕生日もやけど、何よりも一門が集まる大事な日やないの。師匠はそれを怒ってはんねん』って厳しく叱られて、それで『ぽんぽ娘姉さんからも厳しく叱られました。心を入れかえて修行させて頂きます』って師匠にお詫びして許して頂いたってことがありました。」

竹林「大なり小なり、皆しくじってんねん。それがまた笑い話になる時がくんねんな。
師匠から一番学んだことは?」

小留「さっきも言うたように師匠はオン・オフをきっちり切り替えられることの出来る方なんです。日頃は物静かな方やのに、これが一旦お客さんやファンの方の前に立つと一気にこえぴょんになってファンサービスされます。僕もどちらかいうと日頃は大人しい方なんですけど、師匠のああいう姿はしっかり学ばせて頂こうと思います。

恩狸「僕も師匠からはお客さんとの接し方を学ばせて頂きました。高座や打ち上げでファンサービスするだけやなくて、翌日直ぐに電話してお礼言うたり、葉書や手紙書きはったり…。そやから僕もそれを見習って落語会の後や仕事でお世話になった時は、直ぐにお礼の電話したり葉書書いたりするようにしてるんです」

竹林「そやな、師匠から教わるのは芸だけやないもんな。いや芸以上に大事な人としての生き方を教えてくれはるんが師匠やもんな…。最後に目標を聞かせてもらいまひょか。どんな落語家になりたいですか?」

小留「やっぱりメディアで活躍したいと思います。テレビやなんかで知って頂いて、その後で『この人ちゃんと落語も出来るんや!』って思って頂けるようになりたいですね」

恩狸「自分の好きなこと、やりたいことやって、それを多くの方々に共感して頂けるような落語家になりたいと思います!」

二人の落語家生活は始まったばかり。
山あり谷あり厳しい道のりやけど、夢や希望にも満ち溢れてます。
頑張れ恩狸!頑張れ小留!

 Web版の利点は字数制限のないこと。
けどそれをええことに長々お付き合いをいただきました。
最後までお読み頂いた皆様、飛ばし読みやけど最後までスクロール下さった皆様、本当に有難うございました。

これからも出来る限りマメに更新させて頂こうと思います。どうか宜しくお願いいたします。

この記事に関するお問い合わせ上方落語協会

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