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二代目桂八十八師匠・襲名直前インタビュー!

5月某日-緊急事態宣言が発令される中、記者が訪れたのは兵庫県尼崎市。オシャレとは無縁な噺家が多い中、シュッとしたジャケットを羽織り現れたのは人間国宝・桂米朝師匠の最後の直弟子、桂宗助師だ。

今夏、二代目桂八十八襲名を控える宗助師に直撃した。

 

気ィついたら決まってたんや

まずは襲名のキッカケについて聞いてみた。

「一昨年の夏かな。お世話になってる方から『宗助はんも、なんぞ襲名せな』言われて、でも、いやいや私は宗助でエエんです言うてたんやけど、気ィついたら、まわりの人から『襲名が決まりました!』言われて…」

どうやら外堀を埋められていたようだ。しかし、襲名とはお客様や諸先輩方、一門の皆さんから盛り上げていただきはじめてできるものだと聞く。宗助師のお人柄が「八十八」の名跡を引き寄せたのだ。

 

八十八になるということは…

「でもプレッシャーやったね。八十八(やそはち)いうのは、うちの師匠が名乗ってた俳号やから…しかも、落語の名跡を継ぐ場合は先代の十八番ネタをやったりもするんやろうけど、私の場合は俳号やし…つまりこの名前を継がせてもらうということは、俳句を出来なアカンということ。そこで今『プレバト!!』(MBS系)の夏井いつき先生の俳句の本読んで勉強してますねん」

本によると俳句をはじめる際、まずは「メモ」「ペン」そして「俳号」を用意しなければならないらしい。そこで、これから八十八となられる師匠は、自身の俳号を「宗助」にするというのだからなんともシャレている。

 

どう呼ばれるんやろなぁ…

ところで、われわれ噺家には愛称というものがある。これまで「宗助はん」「ソウちゃん」と親しまれてきた宗助師は、八十八を襲名するとどう呼ばれることになるのだろうか。

「分からんねん。『ヤソさん』いうのもおかしいし…『ヤッさん』も変やろ?こんなんはお客さんやら噺家仲間がどう呼んでくれるかやから、自分では全く分からんな…」

『ヤーさん』だけは誤解を招くので避けたいところであるが、すぐにピッタリな愛称が楽屋で生まれるはずである。

 

八十八のサイン

続いて、襲名までに時間をかけて練り上げられているはずのサインについても聞いてみた。

「サイン?それが、新しいの考えなアカンな…思てたら、上方落語協会から『繁昌亭15周年記念のグッズ製作のため、協会員の皆さんはご自身のサインを提出してください』言われて。急いで考えて提出して…よう考えたら、襲名に関することは、自分のペースというより、まわりのスピードで決まっていってることが多いな。襲名の日程も事務所が決めてくれはってん」

 

8月29日は…

そこで、事務所が選んだ8月29日という日は、おそらく「大安」や「一粒万倍日」なのではないかという話になった。宗助師が手帳をめくった。

「あ、仏滅や…」

 

ちなみに、襲名直前となる独演会が朝日生命ホールで6月27日に行われるが、こちらも仏滅であった。しかし、仏滅とは一般的に「何をしても最悪」といわれる日であるが、「物滅」として「物が滅びて新たにはじめる」ととらえ、大安よりも物事を始めるには適した日だという説も存在する。

 

十八番

八十八という名には、噺家が大好きな「十八」という数字が入っている。

8月29日のサンケイホールブリーゼを皮切りに、東京紀伊国屋ホール、天満天神繁昌亭、神戸新開地喜楽館、和歌山、京都…と全国で繰り広げられる末広がりの襲名興行で、二代目桂八十八の「十八番」が聞ける。

露の 団姫

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