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寄席囃子の恩人・林家とみ

突然ですがクイズです。みなさんは“林家とみ”という方をご存知ですか?
……え?春日八郎さんの歌に出てくる人?それは「死んだはずだよおとみさん」でんがな。
この林家とみさん、実は我々ととても深―い関係にあるお方なのです。そのあたりをちょこっとご紹介いたします。

本名・岡本とみさん。明治16年に現在の大阪市都島区で生まれました。
小さいころから三味線を弾き、明治40年代に寄席の世界に入り、以降は寄席のお囃子さんとして活躍します。つまり「寄席囃子のおっ師匠はん」ということです。

大正3年ごろに二代目林家染丸と結婚して林家とみを名乗ります。
現在の林家染丸は四代目なので「今の染丸師匠の師匠の師匠の奥さま」ということにもなります。

上方落語が隆盛を誇った戦前から風前の灯火と言われた戦後にかけて現役で活躍したとみ師匠は、後進育成にも尽力し数多くの門下生を輩出。上方落語には欠かせない「寄席囃子」や「ハメモノ」を絶やすことなく現代にまで受け継いでいきます。その功績が評価され、昭和37年に大衆演芸としては初の『記録作成等の措置を講ずべき無形文化財』に指定。昭和42年には勲七等宝冠章も受章します。要するに、「国から『アンタはすごい!』とお墨付きを頂いた人」ということです。

そんな林家とみ師匠は昭和45年4月1日、86歳で亡くなりました。それから時は流れて平成31年、今年で五十回忌という一つの大きな節目を迎えます。寄席囃子が今日のように当たり前にあるのは、林家とみ師匠という存在があったからだといっても過言ではありません。その師匠の存在に感謝し、改めて現代のみなさまに寄席囃子の世界を広く知っていただきたいという思いから、4月1日(月)~7日(日)の一週間、天満天神繁昌亭の昼席公演にて「林家とみ五十回忌追善・寄席囃子ウィーク」を開催いたします!今日はその公演について、先日行われた記者会見の模様も交えながらお伝えいたします。

記者会見は先月14日、天満天神繁昌亭で開催されました。出席者は、寄席囃子ウィークの主な出演者である林家染丸ほか染二・うさぎ・染左・笑丸・愛染といった林家一門、寄席囃子三味線方を代表して入谷和女とはやしや美紀、そして笑福亭仁智会長でした。

まずは舞台上に楽器類を並べ、寄席囃子「伊勢音頭」の実演をしながら緞帳を開けるという、まるでお芝居でも始まるかのような演出でスタート。この様子に、仁智会長も「笑福亭も松鶴生誕百年祭ウィークの記者会見やりましたが、こんな賑やかな幕開けやなかった。やっぱり林家は違いまんなぁ。」と感嘆のご様子。

初めは公演概要や林家とみ師匠の足跡などについて説明。この公演にはそれぞれ普段とは違ったスペシャル要素が2つあるとのことなので、それもここで説明いたします。

1つ目のスペシャルは、昼席公演では初となる「寄席囃子の実演披露」。寄席囃子というのは繁昌亭の場合だと、普段は舞台向かって右手側にある「下座」と呼ばれる隠れた場所で演奏しています。そのためお客さまにはどういった様子なのかはわかりにくいのですが、当公演では寄席囃子の世界や魅力を存分に味わっていただくため、みなさまの前で楽器類を並べ、さらには三味線の師匠方にも並んでいただいて実演するという、普段は見られない世界を味わえる時間を設けました。

普段も噺家自身が太鼓や笛などを演奏しますが、当公演では染二・染左・愛染・染八らが担当いたします。さらになんと、ただいま病気療養中のため出演予定のなかった林家染丸も、この記者会見にて「毎日出る」と宣言。弟子の目撃情報によりますと、自宅で鳴り物を並べ、一生懸命稽古をしているのだとか。落語家のみならず多くの三味線の弟子も輩出した、いわば『現代版・林家とみ』と言われた染丸師。どういった形で登場されるのか楽しみですね。

三味線は専門の師匠方が演奏いたします。当公演では内海英華・入谷和女・花登益子・中田まなみ・はやしや律子・勝正子・はやしや美紀・はやしや絹代・はやしや香穂・はやしや薫子・佐々木千華・はやしや福・はやしや京子、通常の繁昌亭昼席公演にて実際に弾いてくださっている方々がそれぞれ日替わりでお二人ずつ登場します。普段は隠れて弾いているためなかなかご尊顔を拝する機会がない方たちに会えるチャンス!必見です!

スペシャル2つ目は「大トリの演目がハメモノ入りのネタ」。ネタ中に効果音やらBGMとして入ってくる、上方落語独特のハメモノ入り落語。それを楽しんでいただくために、連日のトリの演目をあらかじめ指定してあります。これも普段はなかなかない事です!気になる演者と演目は以下の通り。

1日(月)林家染二「天神山~障子曲書き」、2日(火)林家そめすけ「皿屋敷」、3日(水)林家染雀「浮かれの屑より」、4日(木)林家小染「三十石」、5日(金)林家染左と林家染二によるリレー落語「地獄八景亡者戯」、6日(土)林家うさぎ「愛宕山」、7日(日)林家菊丸「幸助餅」

ハメモノの魅力を「お囃子さんとのあうんの呼吸が面白い。呼吸が合ったときは楽しいし、うれしい」と語った染丸師。演者とお囃子さんとのやり取りを、ぜひともこの機会に肌で感じてみてください。

さてさて、話は記者会見に戻ります。概要説明があったあとはそれぞれが公演に向けての感想やら意気込みを語り、最後は質疑応答となりました。が、そこはやっぱり噺家。笑わせようと頑張ってしまいます。ネタに走ってしまい、おもわず「質問にだけ答えてください」と言われる始末。おかげで長引くながびく(笑)

そんななかでも印象的だったのが「繁昌亭はできて10年以上経ちます。毎日お囃子も生演奏しているのに、生演奏だったと気づいてもらえないこともあります。この公演でお囃子のことを広くたくさんの方々に知ってもらいたいと思います」と答えたのは入谷和女師。なんと林家とみ師匠の曾孫弟子にあたるのだそうです。先人たちより受け継いできたものを後世に残してくださった林家とみ師匠、その姿に和女師がそっと重なったように見えたのも、やはりDNAを継ぐものの姿なのか。


【三味線のおっ師匠はん。右が入谷和女師、左がはやしや美紀師】

当公演では林家とみ師匠のパネル展示やパンフレットの配布も予定されているそうです。みなさまも寄席囃子の世界をたっぷりと満喫してみませんか?天満天神繁昌亭より、三味線や太鼓を賑やかに奏でながら、皆様のご来場を心よりお待ち申し上げております。

林家愛染

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