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林家愛染・佐々木千華ご夫妻インタビュー

業界では久方ぶりとなる噺家と御三味線の師匠の慶事。コロナ禍でなかなかインタビューを実行できないでいましたが、ついにリモートで取材を敢行しました。緊急事態宣言の真っ最中、全員が別々の場所からの参加という珍しい取材となりました。

(枝女太)改めておめでとうございます。お二人のご結婚されたのはいつ頃になりますか?

(千華)実はあんまりちゃんと覚えてなくて・・・。

(枝女太)なんでやねん! 秋ごろやったと思うんやけど。

(千華)そうでしたそうでした。

(枝女太)コロナ禍は始まってた?

(千華)いや、たしかコロナ禍の前の年だったと思うので、一昨年の秋ごろ? 九月だったと思います。

(枝女太)「天王寺参り」の掛け合いやないねんから(笑)

(愛染)2019年の9月です!

(枝女太)お二人のキャリアは?

(千華)同期です。

(枝女太)そこはしっかり覚えてはるんやね。交際期間はどのくらいですか?

(千華)それが、しっかり覚えてなくて。

(枝女太)漫才してんねやないねから。

(千華・愛染)お互い年季が明けてからですが、4~5年は付き合ってたと思います。

(枝女太)お囃子の方と落語家のご結婚というと、昔では二代目林家染丸師匠と林家とみ師匠が有名です。その後、桂枝雀師匠とかつら枝代師匠。こちらは当初は演者同士でした。その後、林家小染師と入谷和女師。笑福亭仁勇師と山澤由江師。桂春雨師と中田まなみ師。少し間が空いてお二人のご結婚ということになると思いますが、仁勇さんの時などは二人とも交際を隠していて、結婚を聞いた時みんなとても驚いたことを覚えてます。周囲では交際を知ってる人もいた?

(千華)やっぱりちょっと気まずくなるので、あんまり仲間内では知られないようにはしてました。

(愛染)若手の間ではなんとなく知られていたかもしれませんねー。

(枝女太)結婚式はあげた?

(愛染)コロナ禍ということもありまして、同業者同士ということで、ご招待する方々の線引きが難しいこともあって、式はやらずです。

(千華)私も、結婚式というのは出席する側だけで十分かなと思っていたので。あやめ師匠から喜楽館で式をあげるという企画の御誘いも頂いていたのですが丁重にお断りしました。

(枝女太)両師匠への報告はどんな風に?

(愛染)それが、師匠染丸に報告へ伺うときは緊張していたのか、なぜか前日に飲みすぎてしまいまして。

(千華)愛染さんがすごい二日酔いで。しんどそうにされていて、あんまり長い会話はできず、あっという間に終わりました。

(枝女太)ある意味、噺家らしいご報告になったんやね(笑)

(愛染)ちょっと反省の念があったのか、和女師匠へ報告に伺う際はできるだけ早めに伺おうと車を飛ばしていったんです。

(枝女太)えらい!

(千華)ところが急ぎすぎてスピード違反で止められて。

(枝女太)なんじゃそら。

(愛染)ある意味、忘れられない報告となりました。でも二人とも喜んでくださり、激励してくださいました。

(枝女太)良かったやんか。特殊な業種の中、同じ職場での結婚ということで、それぞれ良いところと悪いところなど教えてもらえますか。

(愛染)良いところとしては、お願いがしやすいので仕事の手配や落語会の準備がスムーズですね。常に御三味線とセットで動きやすいです。

(枝女太)なるほど。千華さんは。

(千華)お互いのその日の仕事現場のイメージをしやすいので、お互いの体調や疲労感がわかりやすいというか。できるだけ疲れてなさそうな方が積極的に家事を担当するようにしています。ただ、料理は主に愛染さんの役割になっています。

(枝女太)同業者ならではの気遣いやね。料理ができるのは素晴らしい!私はカレーも作れません。

(愛染・千華)えっ・・・!

(枝女太)そんな引かんといて(笑)

(千華)旦那さんに料理してもらえるのはありがたいです。

(枝女太)(リモートの画面の外を気にしつつ)うちの嫁はん、聞いてへんやろか。では逆に同業者同士のマイナス面は?

(愛染)スケジュールが把握されてるところです(笑)

(千華)お互いにです!

(枝女太)まあ、そういうことは長く連れ添ううちに胡麻化し方も覚えてきます。

(愛染)どんなアドバイスなんですか!あとは家で一人で稽古してる時とかに見られるのが恥ずかしかったり。

(枝女太)同業者に見られるのはたしかに恥ずかしいかな。

(愛染)お三味線の側からしたら稽古を見られていてもそんなに恥ずかしいことないと思うんですけど、落語家はあんまり見られたくないですね。でも逆にハメモノの入る噺なんかは家でも一緒に稽古できるのはありがたいです。

(千華)細かなところまできっかけを合わしたりしやすいのでそういうところはお互いに助かります。

(枝女太)では千華さんから見て愛染君に向いてるネタはありますか。逆に愛染君からして、千華さんの下座と息の合いやすいネタなどはありますか。

(愛染)彼女はなぜかいつも「化け物使い」をやることをリクエストしてきます。僕のニンや性格に合ってるって(笑)。僕からすれば特に太の三味線の音を使うような浄瑠璃関係の噺、「堀川」や「かけとり」なんかは稽古の段階から合わしてもらえるのでやっぱりありがたいです。

(枝女太)下座とのコンビネーションが難しい噺は若い時にしっかりやっておくと身に付くので羨ましい! それでは最後に、お二人の今後の展望は?

(愛染・千華)夫婦で一緒に動ける仕事を増やして、事業の拡大、芸域の拡大を目指します!

インタビュアー・桂枝女太  書き手・笑福亭智丸

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