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桂枝曾丸師、法務大臣から感謝状!

2020年は我々落語家にとってもホントに大変な年でした。

新型コロナ渦で仕事は減るわ寄席は閉鎖されるわ。

 

そんな中でも嬉しいニュースもありました。

 

五代目桂文枝一門で和歌山県出身、あの和歌山弁のおばちゃん落語の桂枝曾丸師が、なんと法務大臣から感謝状をいただいたのです。

芸人をやってますと、文部科学省やら文化庁から表彰されることはちょいちょいありますが、法務大臣からの感謝状とは?!

お正月気分も抜けた1月7日、繁昌亭夜席出演前の枝曾丸師にお話しをうかがいました。

 

記者(以下、記)「法務大臣からの感謝状って凄いやん」(記者は枝曾丸師と同じ五代目桂文枝一門の兄弟子になるのでこういう話し方になります)

枝曾丸(以下、枝)「ありがとうございます」

記「ホンマに感謝状なん?逮捕状ちゃうん?」

枝「なんででんねん!」

記「なにやらかしたん?」

枝「いやそやから逮捕状ちゃうっちゅうねん。知人からの依頼で、BBS運動に関わったんがきっかけですねん」

*ここでBBS運動についてご説明いたします。
Big Brothers and Sisters Movementの略で、法務省所管の更生保護ボランティア運動。不登校や非行の立ち直りのお手伝いだそうです。

記「そこで何をすんのん?」

枝「落語をすることなんかも含めて手伝ってもらえないかと。また若い頃に「社会を明るくする運動」っていうのがあって法務省、正確に言うと和歌山地方検察庁から「社会を明るくする大使」に任命されたんですよ。これは全国で一人だけです」

 

記「へぇ、これもまた大したもんやな。社会を明るくする運動」

枝「犯罪っていうのは被害者は勿論ですけど、加害者になった側もずっと辛い想いを抱えて生きていくわけですよ。人間はひとつ同じ世界で暮らしているわけですから、広いこころで受け入れられるようにならないかっていうところなんですけど」

記「なるほど」

枝「落語にも変わった人間っていうか社会に適応できてない人間って結構出てくるやないですか。落語の場合はそれも笑いに変えてひとつの世界で生きてる。でもこれって結構難しいところがあって、やっぱり加害者は加害者なんですよ。被害者の方がもっと辛いんですよ」

記「そらそうやろね、僕らの感覚でも加害者に肩入れするのんてどうなんって思うことあるもん」

枝「そうでしょう。それが普通なんです。でもたとえば刑期を終えて社会に出てきた人たちも同じ社会に生きてる人間なんですよ。居場所がなくなればまた犯罪や非行に走ってしまうかもわからない。一般人も罪を償った人たちも一緒なんやっていう空気に少しでもと、なかなか難しいですけれどもね」

記「そういう運動があんねんな。そういうのって報酬的なものはあるんかな?」

枝「報酬という形は、ないですね」

記「仮に落語をしても?」

枝「ハイ」

記「えらいなぁ」

枝「僕らはまだ楽なんですよ。街頭活動とかが主なんで、実際に対象となる人達と常に関わっている保護司さんは常に神経使いますから大役です」

記「この法務大臣からの感謝状は2回目やねんて?」

枝「そうです、2008年に1回もらってます」

記「全然知らなんだわ」

枝「ちょっと前になりますけど、BBSの活動で日本BBS連盟から感謝状もらったことがあるんです。2007年やったかな。東京の国立オリンピック記念青少年総合センターっていうところで式典があったんですけど、そのときは当時の皇太子殿下、今の天皇陛下がご臨席されてたんです」

記「ええーーーーーーー、見たん?」

枝「見たんて、怒られまっせ。まぁ同じ会場におられたということで、別にお声をかけていただいたわけでもおそばに行けたわけでもないんですけど、これはええ想い出です」

記「社会を明るくする運動っていうのは、ひとことで言うとどんなことかな?」

枝「う~ん、社会にはいろんな事情で孤独な人って結構いるんですよ。ちょっとしたこと、声かけとか誘いとか、やってることってほんとにちょっとしたことなんです。一生懸命やったって急激に社会が変わるわけでもないし、孤独な人が減るわけでもないんですけど、続けていれば少しずつ少しずつ変わってはいくと思うんです。人間関係の漢方薬みたいなもんやと思ってます」

記「人間関係の漢方薬。ええ言葉やん」

枝「そうですか」

記「誰の言葉です?」

枝「私です」

記「ええーーーーメッチャええ言葉や」

枝「はぁ?ありがとうございます」

 

記者は枝曾丸師と同門ということもあり、彼のことはよく知っているつもりでしたが、今回の取材であらためて彼の人間性に感心させられました。正直、こんな奴やとは思わなんだ・・・もちろん良い意味でですよ。

上方の落語家も300人近くになろうとしています。舞台を見ているだけではわからない、意外な面を持つ落語家もたくさんいることでしょう。

今後そういう人たちもどんどん発掘していきたいと思っています。

文・桂枝女太

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