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第4回若手噺家グランプリ決勝戦レポート

史上初! ふたりの優勝者!
4回若手噺家グランプリ決勝戦

 

6月19日(火)繁昌亭にて、第4回若手噺家グランプリの決勝戦が開催されました。
前日に大阪を襲った大地震で開催も危ぶまれましたが、繁昌亭はまさに超満員の大盛況。
優勝賞金20万円をかけた戦いは熱く盛り上がり、そして最後には誰もが予想しない
劇的な結末を迎えた一夜を笑福亭竹林がレポートさせていただきます。

出場者とネタは以下の通り。

桂二葉「上燗屋」
露の眞「蛸芝居」
桂そうば「代書」
桂雀太「商売根問」
笑福亭喬介「家見舞い」
中入
桂三四郎「世間の車窓から」
桂ちょうば「地獄めぐり」
桂三度「心と心」
林家染吉「権助芝居」

審査員は在阪各局7名のプロデューサー、ディレクターの皆さん。
予選会の審査員を勤めさせていただいた身としては、審査員のご苦労を察しつつも
今回は気楽に若手の奮闘を楽しませてもらいました。
いやホンマに楽しかったんです。
この大会を統括する若手公演委員会の桂米二委員長と露の団四郎副委員長から
「審査員はそれぞれ100点満点で得点をつけます。出場者の持ち時間は11分から13分。
1秒足りなくても1秒オーバーしても各審査員から10点の減点が課されます」とルール説明があり、
いよいよ戦いの火ぶたは切って落とされました。

トップバッターは桂二葉。
「客席が温まっていない」そんなトップのハンディをものともせず、
自らの酒場での体験をネタにしたマクラから一気にヒートアップ。
爆笑の連続で二番手の眞へ・・・。
三番手のそうば、四番手の雀太と誰一人トーンダウンすることなく進んでいきます。
私は二階席、審査員の皆さんのうしろで立ち見をさせてもろてましてんけど、
この頃には「審査員も難儀してはるやろな、迷てはるやろな」ってのが正直な感想。

中トリの喬介がこれまた爆笑の連続で高座を終える頃には間違いなく会場の温度は
何度か上ってたやろと思います。汗ばんで高揚したからだを夜風で冷まそうと表へ出たら
お客様の顔も上気してはります。

後半は舞台袖に場所を移して見せてもらいました。
「お客さんは疲れてはれへんやろか」そんな心配は杞憂でした。

三四郎、ちょうば、三度、そしてトリの染吉と続く流れは前半同様の盛り上がり。
舞台袖でも客席の盛り上がりは充分感じられました。

「審査結果出るまで、出てちょっと喋るか?」
米二委員長の突然の言葉で急遽若手の浴衣を借りて舞台へ。
舞台から見たお客様の顔はどれも満足しきった表情。
「あぁ、よかった、よかった」そんなことを思いつつ、うだうだ言うてるうちに審査結果の集計が終了。

審査員の皆さんの講評に続いて、いよいよ結果発表と表彰式。
プレゼンターの笑福亭仁智新会長が舞台へ。
ひょっとしたらこのときが一番盛り上がった瞬間かもしれません。
「おおっ!」という声とともに大きな拍手がわきました。
そしてそれがしばらく鳴りやみません。仁智会長の顔にも一瞬驚きの表情が。
「新会長おめでとう! 大変やろけど頑張りや!」そんなお客様の温かい心のこもった拍手なんやと思うと、なんや上方落語協会全部に拍手を送ってくれてはるような気持ちになって、自分まで嬉しくなりました。
この場を借りてお礼を申し上げます。ほんまにありがとうございました。

いよいよ結果発表・・・ですねんけど、ここで米二委員長から予想だにしなかった重大発表がなされました。

「今年は優勝者が2名います」

審査員の皆さんには「必ず出場者に優劣をつけてください。同じ得点をつけないでください」とお願いしています。
けれど合計してみたら二人が同点やったんです・・・あり得ることです・・・けど予想してなかったんです。
想定外やったんです。けどあり得ることです。

優勝者は桂ちょうば、桂三度のふたり。
ちょうばは出場者の中ではいちばんの先輩で、今年が最後と思い定めた出場。
かたやいちばんの若手で初出場の三度。
出場資格が入門4年目から18年目までの若手。
10年以上の年季の差のある落語家が、先輩後輩関係なく、ガチの勝負をする。
それがこの大会の面白いところ。
そんな大会に相応しい結果になったんやないかと思います。

この大会のために10年間で500万円をご提供くださった、アート引越センターの寺田社長にも舞台にご登場いただき、厳粛な雰囲気で表彰式は進みます。
が、そこはいうても落語家です。三度が恐る恐る言いました。
「賞金はどうなりますんやろ?」

そらそうです。優勝賞金20万円、準優勝賞金5万円。これが大会のルールです。
賞金総額は25万円。「賞金はどうなりますねんやろ」そない思うのは無理ありません。
「急なことでしたが、先程協議の結果、25万円をふたりで分けてもらうことになりました」と米二委員長。

「ええっー!」優勝者ふたりから不満の声が出た次の瞬間、寺田社長のひと言で協議の結果は覆されることになります。
「それはダメです!」
社長からはそのひと言だけでした。
けど言外に「心配しなくてもちゃんと20万円ずつお渡しできるようにしますから」ってのを匂わせてくださってます。
ふたりの顔に安堵の色が浮かび、会場からは大きな拍手が湧いて一件落着。
(なんと当日中にいただきました。〈編集部注〉)


【表彰式で寺田千代乃社長と仁智会長】

楽屋に戻ったふたりを他の出演者が「おめでとう!」と拍手で迎えました。
ほとんど差はなかったんやろと思います。誰が優勝してもよかったんやろと思います。
それでも勝者と敗者ははっきりと色分けされました。
けど、この夜出場した9人全員の力で会は盛り上がったことは間違いありません。
全員の力でお客様を楽しませたんです。
帰路につく皆さんの顔は満足で一杯でした。

みんなお疲れさん!

そしてお運びくださった皆さん、ありがとうございました。
チケットを入手できなかった皆さん、申しわけありませんでした。
来年またよろしくお願いします。

引き続き行われた記者会見で「んなあほな」の記者として、ベタな質問をしましたんでそれだけご報告しときます。
「賞金の使い道は?」
ちょうば「17年間一度も休まんと続けてきた落語会を決勝のため初めて休みました。お礼とお詫びを兼ねてお世話になった皆さんに手拭でも作って配ります」
三度「羽織を作ります」
そういうたら三度、予選も決勝も羽織着てませんでした。
羽織着た高座、楽しみにしてまっせ。
あらためて優勝のおふたり、おめでとうございます。さらなる飛躍を!

記者会見を終えて大急ぎで帰宅。
テレビをつけた瞬間、FIFAワールドカップ2018日本対コロンビア戦で、大迫選手の決勝ゴール!
ホンマ楽しいええ夜でした、と個人的な感想を申し上げてレポート終了です。

最後になりましたが、今回の地震でお亡くなりになった方がおられます。
怪我をされたり被害に遭われた方も大勢いらっしゃいます。
心からご冥福をお祈りし、またお見舞い申し上げます。
落語家はどんなときでもアホなこと言うて笑うてもらう商売です。
こんなときでも、いやこんなときやからこそ皆様に上質な笑いをお届けせんならんのやろと思います。
若手に刺激されて中堅やベテランも頑張らねばと思います。
引き続き上方落語をご贔屓よろしくお願いいたします。

文・笑福亭竹林

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