2019年2月1日から17日まで、大阪松竹座にて上演されていた「天下一の軽口男」が好評の中、打ち上げられました。
このお芝居は、上方落語の祖とされている米沢彦八の半生を描いたもので、同時期に活躍していた鹿野武左衛門、露の五郎兵衛らとの交流を通して、様々な苦難や挫折を乗り越えながら成長していく姿を軸に、幼馴染である里乃への淡い恋心などを織り交ぜた内容となっています。
配役は、主役の米沢彦八を駿河太郎さん。笑福亭鶴瓶を父に持ち、数多くのドラマや映画で活躍中の俳優です。また、子供の頃からの友人で、後に江戸落語の始祖となる鹿野武左衛門は、関西ジャニーズJr.所属で、役者としても今後を期待されている室龍太さん。その武左衛門に心を寄せる女流浮世絵師 千佳を、堺出身の若手女優 谷村美月さん。彦八の思い人、ヒロインの里乃に、NHK連続テレビ小説「あぐり」で主役を務め、「冬のソナタ」ではチェ・ジュウの吹き替えを担当した田中美里さん。この4人を中心として物語が進むのですが、特筆すべきは脇を固める出演者。吉本新喜劇から池乃めだかさん、内場勝則さん、西川忠志さん。松竹芸能の酒井くにお・とおる師。元OSK日本歌劇団の高世麻央さん。そこに、劇団そとばこまちと松竹新喜劇の面々…という所属会社や団体を飛び越えた個性的なメンバーが集結し、我が上方落語協会からも桂春団治、桂雀三郎、桂米平(桂塩鯛、体調不良のため代演)桂団朝、笑福亭銀瓶が参加するという、大阪ならではのゴッタ煮状態。笑いあり涙ありの17日間27公演を、一丸となって駆け抜けました。
唯一の危機は10日目を過ぎた頃、主役の駿河さんの声がガラガラになってしまったことでしょう。松竹座での初座長という大役で張り切りすぎたものか、声帯を腫らしてしまったのです。舞台に、ほぼ出突っ張りで、セリフの量も半端ではないメインを務めるのは、相当なプレッシャーもあったと思われます。その後、点滴や鍼で何とか乗り切り、事なきを得ました。
千穐楽カーテンコール後、舞台にて(右から雀三郎、春団治、団朝、駿河太郎さん、米平、銀瓶)
その甲斐もあってか、今回のお芝居は、客席に数多くお越しの演劇ファンだけでなく、室さん目当てだったジャニーズファンの皆さんにも、その内容にご満足頂いた様で、SNS上では、早くも再演希望するご意見が数多く寄せられています。
再演(菜園)できれば…みんなの努力も実を結ぶ?
文 桂 米平