3月12日、なんばグランド花月で「桂きん枝改め 四代桂小文枝襲名披露公演」が行われました。
場内は大入り満員、これはまぁ当たり前として、筆者がびっくりしたのは、楽屋の人数の多さ!
本人の兄弟弟子にあたる五代目桂文枝一門の面々、兄弟子の六代桂文枝一門の面々、ここまでは当然として、
他の一門の人たちの多かったこと。
あらためて桂きん枝という人が一門の垣根を越えて人望の厚さを垣間見る思いでした。
【NGK舞台袖)
幕が開いて開口一番は弟弟子の桂坊枝。そのあと桂文珍、月亭八方、桂春團治、桂文枝と高座が続いて中入。
後半は口上からのスタート。舞台に並んだのは本人(四代桂小文枝)を中心に、桂ざこば、桂文枝、桂春團治、月亭八方、笑福亭仁智、そして東京から駆けつけた三遊亭圓楽の面々。
落語家の襲名時の口上はあまり堅苦しいものではなく、どちらかといえば笑いに走るという傾向が強いんですがこの日の口上は・・・笑いに走った走った。
普通は一人ぐらい真面目に通す人がいてるものなんですが・・・。これもご本人のキャラクターなんでしょう。
【口上のメンバー 左から、三遊亭圓楽・桂ざこば・月亭八方・四代桂小文枝・桂文枝・桂春團治・笑福亭仁智】
ざこば師匠の大阪締めで口上が終わり後半のプログラムは圓楽師匠とご本人の二席。
四代小文枝が襲名披露興行に選んだネタは、五代目文枝師十八番「天神山」。
五代目文枝師は噺の後半で、正体が狐であると暴かれた女房が障子に「恋しくば たずねきてみよ・・・」
と歌を一首書き残して家を去る場面で、舞台に障子をしつらえ、自らが筆で歌を書いていく。
それもはじめは右手で、次は左手で裏文字をそして最後は筆を口に咥えて・・・という演出をしていたのですが、
新しい小文枝師の演出は、劇場の大方ビジョンを使い舞台いっぱいに障子を映し出してそこに歌をいかにも筆で書いて
いるようにコンピューター処理された文字を書き出していく。
その速度に合わせてお囃子の入谷和女師が歌い上げていくというNGKならではのもの。
「これは難しいのは本人よりも和女師匠やな」・・・とうのが楽屋でのもっぱらの評判。
【天神山の大詰め】
ともあれ40分にわたる大作を見事に、そして非常に丁寧に演じ上げた四代小文枝師。
今まではベテランの落語家さん、これからは大御所としての期待がかかります。
桂 枝女太