会長のご挨拶 11月
いつも上方落語に温かいご声援ありがとうございます。
今年も残すところあと60日余りとなりました。
11月6日は、いよいよズワイガニの解禁日。
最近は日本海側の港で水揚げされてタグの付いたカニがブランド蟹として高嶺の花と化しています。
昨年は兵庫県の浜坂漁港の初競りでご祝儀相場ではありますが、一杯1,000万円という値がついたそうです。
あるカニ料理屋の品書きです。
・かに味噌豆腐
・松葉カニの刺身
・松葉カニの焼カニ
・松葉カニの茹カニ
・松葉カニの天麩羅
・松葉カニの甲羅蒸し
・松葉カニのカニスキ鍋
・カニ味噌仕立ての雑炊
品書きの字を見るだけでよだれが湧いてきます。
PUFFYの歌 「渚にまつわるエトセトラ」 ♬カニ食べ行こう〜 この曲のヒットで、蟹取県(鳥取県)の平井知事はめざとくキャラクターに指名しました。
ずっと、なんでカニなのかと不思議に思っていましたが、答えは「井上陽水さんだから」らしいです。
そういえば、井上陽水さん♬蟻が死んでいる角砂糖のそばで〜、というフシギな歌がありました。
昔話「さるかに合戦」では、さるとカニがW主演。これもなんでさるvsカニか気になるところです。
サルに殺されたカニの子がハチ・クリ・臼と牛の糞の力を借りて、親の仇討ち本懐を遂げる必殺痛快アクション噺。
話はそれますが、昨今はこの昔話にもコンプライアンスの波が襲い、この噺も仲直りのハッピーエンドになっているようです。
カニといえば、なんと言っても大阪道頓堀のかに道楽の巨大看板のカニ。
道頓堀の金龍ラーメンの看板の巨大龍のはみ出た尻尾を切ったのは、かに道楽のカニだったというニュースも話題になりました。
私の落語にもカニが登場します。エビが主人公なんですが、ラストはかに道楽のカニとえび道楽のエビの果し合いに、食い倒れの人形とづぼらやのフグがカニの助っ人に、そしてさるかに合戦のサルの子孫が参戦、そこへ仲裁に現れたのは、、、。という、「EBI」というお噺。
冬の味覚、カニといえばフグ。上方落語では、「ふぐ鍋」でお馴染み。
その昔、「フグは食いたし命はおしし」と言われた様子が面白おかしく落語になって、しかもオチも秀逸。冬のこのシーズン2、3回落語会に行けば必ず誰かの「ふぐ鍋」に出会えるはずです。
庶民の日常が舞台の落語には、いろいろな食べ物や食材が登場します。
詳しくは、「落語を食べる」(相羽秋夫著)をご覧ください。
11月は独演会のハイシーズン。独演会もいいですが、繁昌亭・喜楽館昼席にご来場いただくと、ひょっとすると独演会のネタを昼席に掛けて奮闘する噺家を間近で見ることができるかもしれません。
そういう意味では、大チャンスの11月昼席公演。
是非ご来場をお待ちしております。
公益社団法人 上方落語協会
会長 笑福亭仁智