公益社団法人 上方落語協会

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会長のご挨拶 11月

 いつも繁昌亭・喜楽館をご贔屓いただきありがとうございます。

 盛り上がった日本シリーズも終わりワールドシリーズもまもなく勝者が決まります。個人的にはワールドシリーズが終わると急に冷え込む記憶があります。

 さて先月17日政府は、今年度の文化勲章受章者と文化功労者を発表しました。
 文化勲章はプロ野球の王貞治氏、歌舞伎の片岡仁左衛門氏や今年ノーベル化学賞を受賞された京都大学の北川進特別教授ら8人、文化功労者に声優の野沢雅子氏、落語家の柳家さん喬師ら21人が選ばれました。
 各界に多大な功績をのこされた方々です。

 落語界ではこれまで唯一人上方落語家の三代目桂米朝師匠が文化勲章を受章されています。ちょうど今年11月6日は米朝師匠生誕百年の節目となります。
 そこで上方落語協会では、その功績を顕彰する「文化勲章受章 桂米朝生誕百年記念月間」を3日より繁昌亭昼席特別公演として開催いたします。


 言うまでもなく、米朝師匠の落語界への貢献は「上方落語中興の祖」と言っても決して過言ではない多大な功績を遺されました。
 戦後、文献や古老の噺家のなかに埋もれていた多くの落語を掘り出し、また改作し現代でも通じる噺に仕立て、後世に遺すという作業を生涯続けておられました。
 それにより多くの演らなくなったネタ、時代にあわあないネタを蘇らせ、噺に息吹を注入し、一時「滅んだ」と言われた上方落語を四天王と共に存続・復活に尽力し、今の上方落語の礎を築かれた救世主といえます。上方落語の代表的な「地獄八景亡者戯」「算段の平兵衛」など大ネタや「天狗裁き」、そして今や前座ネタの定番「動物園」も復活・改作されました。
 そして全国各地で「ホール落語」を展開し、落語を味わえる環境の大切さをアピール、小松左京、小沢昭一、永六輔・司馬遼太郎各氏らとの交流で落語の文化的価値や落語家の文化的地位向上、後進の育成、同時期に共に上方落語復活に尽力され共に四天王と言われた松鶴・春團治・文枝各氏師匠への影響も含め計り知れない功績を遺されたのです。

 さらに東京に移植されたネタを考えるとその存在も含め江戸落語への貢献も大きいと言えます。
 平成21年度、文化勲章を受章されたのは必然といえます。

 上方落語協会では11月6日の生誕百年を記念し、師匠の功績を顕彰するため11月は3日(月)から末日まで約1ヶ月間「文化勲章受章 桂米朝 生誕百年記念月間」(秘蔵映像の放映、グッズ限定販売あり)を開催、その間繁昌亭ロビーでは「特別パネル展」も併催し、協会あげてのイベントといたします。

 何卒この機会に、天満天神繁昌亭で「上方落語中興の祖桂米朝」の功績に触れていただきながら上方落語をじっくりご堪能くださいませ。

 また、神戸新開地喜楽館では通常公演のほか17日から恒例の「〜プロ野球応援ウィーク〜」を開催いたします。
ちなみに24日(月)から一週間、私笑福亭仁智も昼席公演に出演させていただきます。

 落語ファンの方もそうでない方も噺家一同、繁昌亭・喜楽館でお待ちしていま〜す!

 公益社団法人 上方落語協会
   会長 笑福亭仁智