会長のご挨拶 2月
いつも上方落語をご贔屓いただきありがとうございます。
繁昌亭も行政からのお願いにより、 午後8時終演となっております。それでも足を運んでくださるお客様には心より御礼申し上げます。
早や2月、今年の節分は124年ぶりに2月2日だそうです。
「遠仁者疎人 不苦者有智」
「おにはそと ふくはうち」と、読みます。
先月末、木津川市の西山浄土宗の寺院の落語会(疫病退散・免疫力上昇・祈願落語会。客席との間を、ビニールシートで仕切って感染防止万全)に呼んで頂いた時、寺の門前の掲示板に書かれてあった言葉です。
ご住職の談によると、「遠仁者疎人」(人に疎まれる者は、仁に遠い)、つまり思いやりのない人は、人に嫌われる。そして、「不苦者有智」(智恵ある者は、苦しまず)、智恵ある人は、どのような時でも苦しまずに過ごせる。節分に合わせた、語呂合わせの格言だそうです。
私がお邪魔するので、仁智の文字が入った言葉を掲示してくださったようです。(感謝)
ところで、 お寺の掲示板の言葉に、ハッとした経験をお持ちの方も多いと思います。
仕事の関係で、お寺での公演に呼んでいただくことがよくあり、必ず掲示板を見ることにしています。
優しく諭す言葉、心にグサッと刺さる言葉、勇気づけられる言葉などなど。
掲示板の言葉にハッとした時は、探していた言葉に出会った瞬間。自分を見つめ前を向くパワーをいただきます。
そんな寺の掲示板の言葉で私のお気に入りは 、
「これまでがこれからを決める」のではない。「これからがこれまでを決める」のだ。(藤代聡麿)
毎年お訪ねする、温泉津の寺院の掲示板にあった言葉です。ご住職に伺うと、東本願寺の門前に掲示してあった言葉だそうです。
その他、 私の気になった言葉をいくつかご紹介しましょう。
「 人の悪口は嘘でも面白いが、自分の悪口は本当でも腹が立つ」(島根)
「 あてにするから腹が立つ」(自宅近く)
「 他人と過去は変えられないが、自分と未来は変えられる」
「 生まれ変わるなら生きてるうちに」
最近は、 ユーモア満点の言葉、パロディ型もあります。
「隣のレジは早い」
「のぞみはありませんが、ひかりはあります」
「お盆だよ!全員焼香」
この寺の住職さんのお説教を、1回聞いてみたくなりますね。
他にもズバリ、
「お前も死ぬぞ」
「バレてるぜ」
指名手配ポスターの「おい、小池!」同様、心に深く刺さる人もきっといるはずです。
「大丈夫」
言葉にはパワーが宿っています。人を動かすことも、傷つけることもあります。大事に使いたいものです。
株式の有名な格言にあるのが、「もうはまだなり、まだはもうなり」。
言葉の意味は、もう底だと思えるようなときは、まだ下値があるのではないかと一応考えてみなさい。反対に、まだ下がるのではないかと思うときは、もうこのへんが底かもしれないと自問することが大事。
株式に限らず、色々な局面で参考になる言葉です。まさに、コロナ禍の今、もう収束に向かうと思う時、まだ続く可能性はないのかと自問自答することが大切だと教えられます。
「もうひと踏ん張りです」
いろんなところで、いろんな言葉に刺激を受けます。
駐車場の壁の言葉にも、励まされます。
「前向きに!」
落語には、度々名言・格言・ことわざが登場します。ぜひ意識して聞いてみてください。
落語で笑って免疫力UPして、コロナを乗り越えましょう。
公益社団法人 上方落語協会
会長 笑福亭仁智