公益社団法人 上方落語協会

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会長のご挨拶 3月

 いつも上方落語を応援いただきありがとうございます。
 3月に入り、やっと春めいてまいりました。今年の3月は、近年でも特別感があります。5月の新型コロナの分類変更に続き、3月13日からマスク着用ガイドラインの見直しと、3年ぶりにマスクなしで街を歩く開放感が味わえることになりそうです。ただ、コロナ期間に知り合った人の素顔を見て、ビックリということもありそうですね。

 さて3月は、別れの季節だそうです。卒業、転勤、破局、離婚、色々な別れがありますが、中でも熟年離婚は、色々な経緯とその後があるようです。
 特に夫にとっては、「寝耳に水」と感じる方が多く、“女性の生き方”の考え方の変化が背景にあるとのことです。ただ、「古い考え」の夫から離れても、厳しい現実に直面する場合も少なくありません。しかし、離婚を切り出すのは、7割が妻ということから、大抵「離婚を切り出した」妻は、あっという間に元気になり、「寝耳に水」の夫は、孤独に陥り挙句、寿命も縮む可能性があるという調査結果も出ているそうです。
 いろんな夫婦がある中、落語に登場の夫婦は、ほとんど「破れ鍋に綴じ蓋」、喧嘩も激しいですが、後腐れもありません。ぜひ参考にしていただきたいものです。
 別れ方といえば、難しいのが「お妾さん」(大阪では、「お手かけさん」)。いわゆる、愛人、不倫関係の清算。それも落語「星野屋」を是非参考にしていただきたい。

 「会うは別れの始め」と言いますが、また新たな出会いの時期でもあります。人は、新しいスタートのために別れを選び、それが悲しい悔しいものであっても、前を向いて新たな人生に臨み、希望に胸を膨らませます。

 2月3月の受験シーズン。合格発表の仕方も様がわり、学内の掲示板に名前まで張り出し、体育会系クラブ員が合格者を胴上げ、応援団がエール、といった風景も今は昔。
 小噺「合格発表」もパワー半減です。
受験生「さあ、いよいよ合格発表や。俺の受験番号が、101番。合格者の番号が、え~と、95番、96、97、98、99、100、102、103、、、俺の番号が、101、あそこにあるのが、96、97、98、99、100、102、103、、、99、100、102、、惜しいな~、1番違いや」

 卒業、入学、就職、人生には、いろんな節目があります。ちなみに私の入門日(社会人第一歩)は、正式には4月1日でした。師匠も同じく4月1日で、新居に引っ越しされたのも4月1日、私の入門日でした。さらにその日から、住み込みでお手伝いするために、師匠の奥様の故郷壱岐からはるばるやってきた、スミちゃんも4月1日に到着。4月1日は、特に大切で思い出深い「噺家人生スタート日」です。

 3月の天満天神繁昌亭では、”サクラサイタ”方、”サクラチッタ”方、そのほか、新たなスタートを前にしている皆様のお越しをお待ちしております。
 13日(月)から1週間は、「桂三実 繁昌亭大賞新人賞受賞記念ウィーク」。昨年新設の新人賞に輝いた桂三実さんの飛躍を期す記念ウィークです。新開地喜楽館の「大相撲ウィーク」(6日から)と合わせてお楽しみください。

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会長 笑福亭仁智