公益社団法人 上方落語協会

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会長のご挨拶 4月

 

 いよいよ平成もあと僅かとなりました。

 いつも上方落語をご贔屓いただきありがとうございます。

桜前線が南から北へ駆け抜け、薫風爽やかな季節を運んでくれます。

 新たな出会いが期待される4月、特に今年は改元の年、新しい元号は「令和」に

決まり、まさに「令和には、人々が美しく心を寄せ合う中で、文化が生まれ育つという

意味が込められている」(安倍総理)ように穏やかな時代を願いたいものです。

 

 昔から平和な時代に文化は育つといわれています。上方落語も天下泰平の江戸

中期に生まれ、明治・大正・昭和・平成と各時代の平和な時期に育まれ今日に至っ

ています。江戸落語は、江戸庶民に愛され、またそれに応えるべく江戸文化を映し

上方落語は、京・大坂の方に愛されるように工夫しその特徴を備えています。

 

 上方落語の大きな特徴は、お囃子と見台に膝隠し。上方落語の発生は大道芸か

らで、社寺の境内やらでの小屋掛けの辻噺から始まっています。ですから通りすがり

の人の注意を引き付けるために見台を置き、小拍子(拍子木の小さいもの)や張扇

でガチャガチャと音を鳴らす必要があったわけです。それだけではありません。見台

を小拍子でたたくことによって、場面転換、映画で言うとカット割りの効果があり、瞬

間的に場所の移動、さらには言葉の強調のためにも効果を発揮します。

 江戸落語の前座さんは、「金明竹」や「寿限無」で口さばきの稽古をしますが、上

方落語の前座は、「東の旅」や「西の旅」という旅ネタで、小拍子と張扇でカチャカチ

ャ、バンバン拍子を取りながらしゃべることによって、リズムと間合いを稽古するので

す。しかも小拍子や張扇より大きな声を出す訓練にもなります。

 それだけではありません。見台は、落語の中で机になり(代書)、橋の欄干(遊山

船)、寝床(持参金)になったりするのです。その前の膝かくは、その名の通り動き回

った着物の乱れを隠し、また小道具を隠したりもします。

 

 そして、お囃子(鳴り物)。先ずは出囃子。江戸落語は、座敷芸から始まりました

ので、元々落語家が高座に上がるときの音楽はありませんでした。上方落語は、早くから三味線・太鼓・鉦などを使い落語家登場の時も賑やかに演出しました。

 そして、歌舞伎をまねて落語の効果音として、人々が陽気に行きかう時、心情を

吐露する時、夜中の寂しい場面、雨・雪・雷・波音・幽霊が出る時、神様の登場など

上方落語ではお囃子さんが大活躍です。

 

 繁昌亭4月は1日からの一週間、そんな普段は縁の下の力持ちで舞台に出な

いお囃子さんが主役です。大衆芸能分野で初の無形文化財になられた、林家とみ

師匠の功績を顕彰し偲ぶ「林家とみ50回忌追善ウィーク」。林家一門勢揃いで、お

得意のはめものたっぷりの落語やお囃子紹介など、上方落語の魅力に出会えること

請け合いです。

 

 是非、春の陽気に誘われて、繁昌亭で賑やかな上方落語に出会ってください。

お待ちしておりま~す。

                                     笑福亭仁智