公益社団法人 上方落語協会

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会長のご挨拶 10月

 いつも上方落語をご贔屓いただきありがとうございます。

 10月になり、やっと秋めいてまいりました。スポーツの秋、今年はラグビーワールドカップの日本開催と、日本チームの大活躍で日本中が沸き立っております。感動を呼ぶプレイが観客の声援を増幅し、それによってまたスパープレイを呼ぶ。私もテレビ観戦ではありますが、ファンの熱気が伝わってスタンドと一体となった試合に興奮しております。

 熱気と言えば、先月東京新宿末廣亭で行われた「柳亭小痴楽真打昇進披露興行」に出演してまいりました。
柳亭小痴楽さんは、五代目柳亭痴楽師の実子でいわばサラブレッド。二ツ目時代「成金」というユニットのリーダー的存在で、落語会に若いお客さんを大量に動員し、現在東京の「落語会をすれば満員になる」といういわゆる「落語会ブーム」の火付け役、成金ブームのトップランナー。 端正なマスクと芥川龍之介のようなカールした長髪、評論家絶賛の江戸前落語と将来を嘱望され、15年振りの真打単独披露公演も頷ける実力の持ち主と言う、東京の落語芸術協会では金の卵。私は披露興行の3日目に口上とともに出演させていただきましたが、いつも以上の末廣亭の熱気に、披露公演の華やかさと伝統を感じました。
 

 上方の落語界には真打制度はありません。
戦前上方にもありましたが、どうしてなくなったか詳しくは不明です。戦前から戦後にかけて噺家の数の減少と、大阪の寄席の形態が漫才中心になったのが大きな原因だと思います。
上方の戦前戦後の寄席番組を見ると東京の寄席と違い落語は色物(漫才中心の中に色変わりの演芸として出演)となり、寄席以外の興行としての落語会も少なく、制度の必要もない状態で現在に至っています。結局は「実力はお客さんが判断する」という大阪の風土には合っているのかも分かりません。ただ、あの華やかさを目の当たりにすると、ご贔屓衆と噺家仲間が祝う儀式としてあるのは正直羨ましい面もあります。

 上方にも襲名披露はあるのですから、自他共に認める実力のある噺家の華やかな襲名披露興行が待たれます。大阪のご贔屓衆もご承知の通り、上方にも有望な若手がいっぱいいます。応援お願いします。特に文枝一門には、先達が大きくされた立派な大真打名が数多くあります。楽しみです。

 そんな文枝一門が勢揃いするのが、繁昌亭で行われる一門の祖、初代文枝生誕二百年を祝う「初代文枝生誕二百年記念特別公演ウィーク」(10月28日~天満天神繁昌亭昼席)。
現六代文枝師匠をはじめ、小文枝・文珍各師ほか、個性豊かな一門らしい華やかな一週間にご期待ください。桂坊枝さんによる「初代文枝物語」も必見。広くなったロビーの展示コーナーでは、文枝一門グッズの展示などもあります。

 その他、繁昌亭では連日お客様に喜んでいただける番組と、ユニークなロビー展企画で、皆さまをお待ちしております。
是非、お誘いあわせに上、足をお運びください。
何卒、上方落語に熱いご声援をお願い申し上げます。

上方落語協会
会長 笑福亭仁智