会長のご挨拶 5月
いつも上方落語をご贔屓いただきありがとうございます。
鯉のぼりの泳ぐ爽やかな季節となりました。
さて、5月の歌舞伎座「團菊祭五月大歌舞伎」は、「團十郎家」「菊五郎家」という歌舞伎界を代表する名優の功績を称える特別公演ですが、今年は尾上左近の「三代目尾上辰之助」襲名披露が行われます。尾上左近が祖父(三世松緑)、父(四代目松緑)の受け継いだ名跡を継承する重要な公演です。
歌舞伎界では江戸の市川團十郎、上方では坂田藤十郎など「祖から受け継ぐ」という伝統があります。
芸の世界には、初めて道を切り開いた人を敬い、その名や心を後世へ伝えていく文化があります。
上方落語において、その始祖として語り継がれているのが米沢彦八でございます。江戸時代、大坂・生國魂神社の境内で「辻噺」を披露し、人々を笑わせた彦八。その芸は、今のような高座や寄席の形ではありませんでした。しかし、人を楽しませ、笑いによって日々の憂さを晴らしていただくという上方落語の根っこは、まさにそこにあったのだと思います。
落語は時代とともに姿を変えながら受け継がれてまいりました。昔ながらの噺を大切に守る一方、新しい感覚や時代の空気を取り込みながら、その時代のお客様に笑っていただける芸を目指しております。それでもなお、私たち上方落語家が折に触れて立ち返るのは、「人を笑顔にしたい」という彦八以来の思いであります。
その米沢彦八を顕彰する「彦八まつり」が、今年も5月16日(土)、17日(日)の両日生國魂神社(谷町九丁目)で開催されます。上方落語協会の落語家が一堂に会し、第33回月亭方正実行委員長を筆頭に実行委員が趣向を凝らし奉納落語会はもちろん、はなしか屋台、ステージでの各種イベント企画など、毎年多くのお客様に楽しんでいただいている恒例行事でございます。もちろん入場無料(一部落語会は有料となります)、詳しくは協会HPをご覧ください。
彦八まつりの魅力は、寄席とはまた少し違う、落語家たちの素顔や賑わいを身近に感じていただけるところにもあります。師匠から弟子へ、一門から次の世代へと芸が受け継がれていく、その空気を会場全体で味わっていただける二日間です。
笑いは、人と人をつなぎ、時代を越えて受け継がれていく力を持っています。上方落語の原点ともいえる彦八まつりを通して、上方芸能ならではの温もりと活気を感じていただけましたら幸いです。
初めてお越しになる方も、毎年楽しみにしてくださっている方も、どうぞ気軽に足をお運びください。
なお、5月の繁昌亭は「笑福亭鉄瓶繁昌亭大賞受賞記念ウィーク」(18日〜)
喜楽館は、「神戸新開地・喜楽館AWARD2025ファイナリスト_桂小鯛主任興行」(18日〜)
「神戸新開地・喜楽館AWARD2025ファイナリスト_桂三四郎主任興行」(25日〜)
皆様のお越しを、心よりお待ち申し上げております。
公益社団法人 上方落語協会
会長 笑福亭仁智