公益社団法人 上方落語協会

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会長のご挨拶 8月

 残暑お見舞い申し上げます。
 いつも上方落語をご贔屓頂き、誠にありがとうございます。
 7月1日リニューアルオープン致しました天満天神繁昌亭も、おかげ様で盛況のうちに1ヶ月間の記念公演を終えることが出来ました。
 こころより御礼申し上げます。

 さて、ご存知のように落語にも四季折々の噺があります。
 夏の大坂といえば、大川の夕涼み。上方落語では、「舟弁慶(先代文枝師匠の十八番)」、「遊山船(六代目松鶴師匠同)」などがそれです。また、聴いているとカンカン照りでセミの鳴き声が聞こえて来そうな「夏の医者(枝雀師匠)」。そして、なんと言っても怪談噺。「皿屋敷(三代目春団治師匠)」、「借家怪談」「骨つり(米朝師匠)」「へっつい幽霊」など、新作でも「漫談家の幽霊(たまさん)」、「奥野くんの幽霊(三金さん)」、「金作幽霊(福笑師)」、「恐怖の民宿 百物語(仁智)」など、夏場あちこちで口演されています。
 クーラーのなかった昔、怪談噺を聴いてゾッとして、肝を冷やして涼を感じたのでしょう。名人が演じると、お客さんが脱いでいた羽織を着だしたといいます。
 怖い怖いと思うと、想像力が高まり見えないものが見えてくる。子供の頃、怖い話を聴いた夜は、お化けが出そうで、トイレに行くのが怖かったものです。
 「幽霊」と「お化け」と「妖怪」の違い。
 「幽霊」死んだ人の魂が成仏出来ずに現れるもの。
 「お化け」は、本来の姿から異なるものに化けたもの。化け猫、もったいないお化けなど。
 「妖怪」人以外のものや動物が化けたもの。海坊主、河童など。
だそうです。
 口の悪い噺家は、「幽霊」は、美女でそれ以外は、「お化け」と分類するそうです。
「幽霊の正体みたり枯れ尾花」
思い込むとそう見えるから不思議ですね。

 思い込みと言うと、先日私の勝手な思い込みで危うく仕事をトチりそうになりました。北海道の旭川で夜に仕事があり、早くから関空発~札幌のチケットを送ってもらっていました。それをすっかり伊丹発と思い込んで、その時間に伊丹空港で荷物を預けようとANAカウンターに行くと、係の可愛い女性が「この便は、関空発ですが」、ギャビ~ン!?ギョエッ!?不思議と係の女性が、鬼とまでは言いませんが、いけずそうに見えました。その時間から到底関空の出発時間に間に合う訳もないので、
 「伊丹発の次の便は、何時ですか」
 「◯時ですが、三連休の初日で混んでますので、お調べします」
 満席なら仕事に穴を開けてしまいます。・・・沈黙の時間。
 「お待たせしました。2席空いてます。お手続きさせて頂きます」天使に見えました。ANAさんありがとうございました。アナを開けずに済みました。
 たまたま、1日おいて次の日、また伊丹発の便に乗る仕事があり、当然チケットを確認して、近くのホテルから7時32分発のバスに乗る予定を立てました。ところが35分発と思い込んで家を出たので、バス停の手前でバスを見送り大慌てしました。
 本当に、思い込みは怖いです。
 私も永年噺家として仕事をさせて頂いてますが、ひょっとしたらこれも私の思い込み?

 8月の繁昌亭は、朝席・昼席・夜席・深夜の乙夜寄席で、夏場のゾクッとする噺が満載です。改修工事で空調も快調。暑い日は、天満天神繁昌亭で、身も心も涼しくお過ごしくださいませ。

公益社団法人上方落語協会
会長 笑福亭仁智