公益社団法人 上方落語協会

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会長のご挨拶 3月

 

 いつも上方落語を愛していただきありがとうございます。

 

 2月29日夕方「大谷翔平選手結婚」のニュースが日本中、いや世界中を駆け巡りました。

 大谷ロスで落ち込む女性、お相手情報を噂するおばちゃん、連日あれこれ詮索に時間をかける情報番組、結婚後の好調な打撃を見て開幕が待ち遠しい私と、ますます大谷選手に注目が集まっています。

 

 そこで、MLB開幕まで落語の結婚事情、夫婦関係、男と女のお話をご紹介します。

 

 まず、結婚願望の男の噺は、「色事根問」、「稽古屋」。 一目惚れのお嬢さんに恋わずらいの若旦那の「崇徳院」、家主から京都の公家奉公の女性を世話してもらう「延陽伯」、借金返済のために持参金つきの女性をもらう「持参金」。大店の若旦那とお茶屋の芸妓さんの道ならぬ純愛で涙を誘う噺「立ち切れ線香」。年頃の娘さんを持った親の心配をコミカルに描いた「植木屋娘」。

 一方新作落語では、やはり作者の年齢に相応した噺が作られています。三枝時代の初期の「HOW TO プレイボーイ」、私の「源太と兄貴 純情篇」、遊方さん「絶叫ドライブ〜彼女を乗せて〜」、思春期の女の子の恋の噺あやめさんの「三年二組の高田くん」、後年には同じくOLの「コンパ大作戦」など。

 落語の真骨頂は、市井の人々の生活を生き生きと描くこと。落語にはいろんな夫婦が登場します。 定番は、しっかり者の奥さんにたよんない亭主「祝いのし」、「加賀の千代」、しっかり者の奥さんの機転で旦那が改心する人情噺「芝浜」、働き者の髪結の奥さんに紐のような旦那「厩火事」、ノミの夫婦「船弁慶」、破れ鍋に綴じ蓋「堪忍袋」などなど。他にもキリがない程ありますので、いろんな夫婦に寄席で出会ってください。

 

 では、最後に小噺を一つ。  長年連れ添ったご夫婦。残念ながら旦那がお亡くなりになり、葬式も終わりいざ出棺となり、男4人で3回玄関先で棺を回す地域の風習で回していると棺が松の木に当たり、その拍子に死人が生き返りました。葬式は中止となり、3か月後寿命が来てまたお亡くなりになり、葬式も終わり出棺。男4人で棺を回していると、位牌を持った奥さんが一言「当てんといてよ!」

 

 春は別れそして出会いの季節。またどこかで、カップルが出来、夫婦が誕生します。どんな夫婦にも幸あれ。

 

 花咲く春、「桂米輝 繁昌亭大賞新人賞受賞ウィーク」 3月25日から繁昌亭にて開催。ご来場お待ちしております。 

 公益社団法人 上方落語協会
 会長 笑福亭仁智