公益社団法人 上方落語協会

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会長のご挨拶 5月

いつも上方落語を気に掛けていただきありがとうございます。

先月末からの緊急事態宣言により、不自由な毎日をお過ごしのことと拝察申し上げます。
関西の定席も、天満天神繁昌亭、神戸新開地喜楽館、動楽亭、全て昨年に続き、宣言中は休館しております。

昨年繁昌亭は、「施設の使用停止を要請する施設」に該当したので休館としました。今回演芸場は、「無観客開催」との要請が出されました。落語は、目の前の生のお客さんの反応を見ながら、ネタや言い回し、間を変えて噺をすすめ、それにまたお客さんが反応する。そんな時間を共有するのが落語という芸です。ですから、目の前にお客さんがいらっしゃらない状況では成り立ちませんので、休館という判断となりました。誠に申し訳ございません。

というわけで、昨年に続きまた体力維持のため、ウォーキングをする日々が始まりました。

まず昨年同様、中之島公園から大阪城。そして昨日は、靭公園からあみだ池筋を南へ。落語に登場するあみだ池の和光寺まで。1日15000歩を目標に歩いております。歩くと普段気付かない発見があります。土佐堀2丁目交差点角に「宮武外骨ゆかりの地」碑があります。宮武外骨は、明治大正期の反骨精神のジャーナリスト。今生きていたら、この状況を「滑稽新聞」にユーモアを交えどんな記事を載せたでしょうか。

ところで外骨(がいこつ)とは面白い名前ですが、本名と知ってびっくり。自分がつけた(改名)名前ということで納得しましたが、親につけられた名前ならぐれてるかもわかりません。

意外と落語家の芸名は、師匠の名前一字を戴いて、まともな納まった名前がほとんどなんです。師匠につけていただいた名前は、そう簡単に変えられません。でもやはり、師匠のその時の気分?で珍名の方もいらっしゃいますが。その走りは、先代小文枝師匠門下の桂きん枝(現・4代目小文枝)さん。本名が立入なのできん枝となり、松之助師匠門下の明石家さんまさんは、実家の家業から、さんま。弟弟子には、信用亭きん好(廃業)という名の噺家もいました。逆に東京は、真打昇進を機に、改名や襲名する場合もあるからでしょう、柳家ふくびき、三遊亭金かん、三遊亭ごはんつぶ、三遊亭あんぱんなどと漫画のキャラクターのような噺家さんもいます。

彗星は発見者の名前が付けられますね。生物は、第一発見者に命名権があるようですが、見た目に由来する名前が多いようです。気の毒な名前がたくさんあります。アホウドリ(近づいても逃げない。簡単に捕まえられるから)。 魚では、オジサン(正面から見ると髭がありおじさんに見えるので)、ウッカリカサゴ(うっかりするとカサゴと間違うので)。昆虫に「トゲアリトゲナシトゲトゲ」というのがいます。どっちやねん!おそらく、まず「トゲトゲ」と命名したら、のちにトゲのないトゲトゲ仲間が見つかったので、「トゲナシトゲトゲ」としたら、その後トゲのある「トゲナシトゲトゲ」が見つかった。よって「トゲアリトゲナシトゲトゲ」。またまだあります。1999年山口県で発見されたキリギリスに似た昆虫。昆虫の名は「カノウモビックリミトキハニドビックリササキリモドキ」。発見者のミトキさんは二度びっくりしたんでしょう。鳥や魚、昆虫には、真打昇進や襲名もないので、お気の毒としか言いようがありません。

逆に最近では、新種のバラなどの命名権が高値で売買されているようです。

球場や競技場、はたまた横断歩道橋までネイミングライツで命名されているので、落語家の芸名もそうなる時代が来るかもわかりませんね。

上方落語に「てれすこ」という噺があります。ある村で珍しい魚が、あがった。その名前を誰も知らないので、奉行所で賞金を出して知ってるものは名乗り出るように高札を立てた。すると一人の男が、「てれすこ」という魚ですと申し出て賞金をせしめる。そこで奉行が、それを干物にして再び高札を出した。件の男、今度は「ステレンギョ」と申し出てお縄になり、死罪のお裁き。何か言い残すことはないかと言われ、「せがれに一言、これからはイカの干したものをスルメ呼ぶな」・・・

お陰様で、今年の9月で天満天神繁昌亭は、開場15周年を迎えます。そこで9月は「15周年記念月間」と銘打ち、お客様に喜んでいただけるイベント企画満載の一ヶ月を計画しております。

一日も早いコロナ収束を祈るばかりです。

自粛要請明けましたら、お誘いあわせの上、天満天神繁昌亭に足を運んでいただきますよう伏してお願い申し上げます。

上方落語協会
会長 笑福亭仁智