公益社団法人 上方落語協会

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会長のご挨拶 4月

 いつも上方の噺家に温かいご声援をいただきありがとうございます。

 コロナ禍以来、スーパーや市場をぶらぶらするのが好きになり、季節の移り変わりを店先で感じるようになりました。
 私と同じ理由かはわかりませんが、買い物カゴを持ったお父さんの姿が増えたように感じます。
 個人的には春が旬の食材の料理は、特に季節を感じ食欲をそそり酒の肴にもなり大好きです。若竹煮、タケノコの木の芽和え、ワケギとホタルイカのぬた、菜の花のからし和え、しらす丼、碓井えんどうの豆ご飯、かつおたたき(薬味に新玉ねぎ)、桜鯛のカルパッチョ、春キャベツとアサリの酒蒸し、酒はワインが合うかなと品書きだけで思い巡らします。特にワケギのぬたは、他にイカ・タコ・あさり・薄揚げなど入れて小丼鉢一杯はいけます。

 3月から4月は引越しのトラックが目立つ引越しの旬(ハイシーズン)でもあります。
 春の引越しは、転勤、就職、新入学などが中心でしょうか。他には孟母三遷もありますか?

 偉人では、葛飾北斎が生涯93回も引越しをしたそうで、江戸川乱歩(46回)、夏目漱石も30回以上の引越しを繰り返したそうです。漱石は「吾輩は猫である」の猫を引越しでも箱に入れて連れて行き、死んだ後箱に入れて埋めて十三回忌まで勤めたと妻の鏡子さんは書物に遺しています。因みに、名前は亡くなるまで無かったようです。

 さて、落語の世界が現実の江戸・明治の住宅事情。庶民は9尺2間(4.5畳と土間)の棟割で、土間には竈・水壺・流しが平均的な間取り。井戸とトイレは共同。大多数の町人は広い表長屋への引越しを夢見て生活に追われていたようです。

 引越し・宿替えを題材にした落語は、ズバリ慌て者の引越し風景「宿替え」、使い勝手の良い空き家を借りられない様に住人が怪談を聞かせる「借家怪談」、宿替えをした友達への祝いのへっついを盗みに行く「へっつい盗人」、家を借りにきた人に小言を言って帰す「借家借り」(小言幸兵衛)、大店の妾の家に盗人に入った男がお妾さんに騙される「転宅」などがありますが、特に枝雀師匠の「宿替え」、初代春團治の「へっつい盗人」は有名です。

 昔の引越しは、基本家族や知り合いが手伝ったりとかでしたが、大阪万博後高度なホスピタリティで安心と夢を運ぶパッケージサービス業として発展成長してきました。

 4月の天満天神繁昌亭では、その賞金と栄誉で一段グレードの高いところへの引越しを目論む若手噺家も多いという噂の、アート引越センター寺田千代乃名誉会長プレゼンツ上方落語若手支援「第12回上方落語若手噺家グランプリ」の予選が毎週水曜日の夜席で開催されます。若手噺家の熱い戦いにご期待ください。

 さらに繁昌亭昼席では、
・若手噺家がさらに目指す繁昌亭大賞の昨年度受賞者の昼席「桂佐ん吉第20回繁昌亭大賞受賞記念ウィーク」(6日から)

 神戸新開地喜楽館では、
・「寄席で長講を聴く~桂三若喜楽館で人情噺~presented by 浜山寄席」(6日から)
・「団四郎 改メ 露の五郎 襲名披露公演」(13日から)
・若手噺家グランプリのチャンピオンが集う「ハナグリ・チャンピオン・カーニバル」(20日から)

 出演者一同満を持してお待ちしてまっせ〜。

 公益社団法人 上方落語協会
   会長 笑福亭仁智