公益社団法人 上方落語協会

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会長のご挨拶 3月

 いつも上方落語をご贔屓頂きありがとうございます。
 この度の世界的な新型コロナウィルス感染症拡大を受けて、上方落語協会と致しまして、これ以上の感染拡大防止とお客様の安全、安心を鑑み、やむなく協会主催公演の中止を決断しました。
 一日も早い終息をこころより祈っております。

 さて、弥生三月といえば、ひな祭り。♪灯りをつけましょ ぼんぼりに~。
我が家は上下女兄弟の所為か、子どもの頃は、端午の節句より、毎年ひな祭りでお雛さんを家族で飾ったことの方が思い出されます。まず女雛、男雛を並べて、三人官女、五人囃子。左右は、地方によって違うそうですが、我が家は京都式で、男雛が向かって右側だったと思います。
 京都御所の紫宸殿の御即位の式典に由来し「太陽が先に当たる側が上位。左をもって尊し 」という古来の風習によるそうです。となると、ガッツ石松さんのエピソード、「太陽はどっちから登る?」「右から!」もあながち間違いではないかもしれません。
 そして、明治時代から西洋に準じて、左右逆になったということらしいです。
 私は、その家で偉い方が右と、ずっと前から思っていました。表向き亭主関白、その実財布のひもは、女性が握るかかあ天下で、家内安全。夫婦円満。決して男尊女卑ではありません。
 落語には、そんな庶民の生活を生き生きと写し出した噺が山ほどあります。ですから、落語に登場する嫁さんは、ほとんどが、かかあ天下のしっかり者。
 以下、上方落語に登場する奥さん(大概名前は、お咲さん)を、私の印象でご紹介しましょう。

頼りない旦那をたてる女房(宿替え)
酒飲みの旦那の体を心配するも夜中酒を買いに出る姉さん?女房(替わり目)
頼りない旦那を頼りにしている女房(火焔太鼓)
あほな旦那を愛しささえる賢い女房「昼ご飯は、向かいに借りた20円持って、魚屋行って、尾頭のついたん買うといで」「かか、魚20円ぶんでお腹大きならん」「 今度、家主さんとこの息子さんお嫁さんもらう。その祝いとして持っていくと、向こうは20円のもん持っていったら、50円いや100円のお多芽くれはる。そしたら向かいに20円返して,残りで米買うて、二人で食べるねん」という算段。凄すぎる経済観念。(祝のし)
かかあ天下の元祖大阪のパワフルおばちゃん(船弁慶)
遊び人の旦那に惚れてる世話女房(厩火事)
年末の支払いに困った夫婦 わしが死んだと芝居せえと、旦那。金がないので、せざるを得ない健気な女房(掛け取り)
旦那の浮気に品よくやきもちを焼くご寮さん(悋気の独楽)
きつねの女房(天神山)
不倫妻(紙入れ)
亡くなってすぐ後添いをもらった旦那の前に3年目に現れた妻の幽霊の女心(茶漬幽霊)
男まさり(けんか長屋、堪忍袋)
内助の功(夢の革財布)等々

 是非、新型コロナウィルスに負けないで、落語会で元気にお会いしましょう。
 そして、家庭を守るパワフルな嫁さんに出会ってください。

 一日も早く皆様と繁昌亭、喜楽館でお会いできることを願っております。

上方落語協会
会長 笑福亭仁智