公益社団法人 上方落語協会

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会長のご挨拶 10月

 いつも上方落語をご支援いただきありがとうございます。

 9月1日は、防災の日。未曾有の被害に見舞われた関東大震災の発生した日(1923年)です。今年で100年、家屋が倒壊し、火災が発生、台風の影響による強風も重なり、東京では6割以上の家屋が罹災し、10万人を超える死者数となったとの記録です。

 そんな時、東京に「落語協会」が誕生しました。

 大正デモクラシーの風が吹き、明治から大正にかけ東京に200軒あったと言われ、庶民の娯楽の中心であった寄席小屋は、震災で激減。そこで東京復興のためいち早く結束し、被災された人々に勇気と希望を与えるため立ち上がったのは、東京の噺家連でした。その復興公演を企画・開催された行動は、まさに江戸の噺家の心意気と存在意義を象徴するものと敬服いたします。そしてその行動が、翌年の「落語協会」誕生として実を結びます。

 被災された東京の噺家は、地元に残る人がある一方、仕事や知り合いを頼って疎開する人も少なからずおられ、大阪にも多くの方が来られたと記録にあります。それが、それまでもあった大阪落語の東京移入を加速し、今や東京の噺家さんの演じる滑稽話のほとんどが大阪から移入された大阪落語が元になっていると言っても過言ではありません。地域を超えた交流が、落語の発展、改革の礎になるのは証左の通りです。

 落語協会はそれから百年、笑いと感動で、日本の文化と歴史を彩る芸能として庶民に愛され続ける落語の発展のため、噺家を支え、三人の人間国宝を初め多くの名人を輩出し、多くの名作を生み、常にその中心的存在として伝統を矜持として歩み続けてこられ、来年2月25日、100周年を迎えられます。

 奇しくも、関東大震災から百年、コロナで苦しめられた芸能を支援する事業として文化庁助成「文化芸術需要回復・地域活性化事業」が開催の運びとなり、地域・協会の垣根を越え、落語協会、落語芸術協会、上方落語協会が、協会あげての交流で、全国各地で「東西交流落語会」を開催しております。これが、新たな落語の発展・改革の礎になり、落語がますます皆様に愛され受け継がれることを願っております。

 東西の落語家と色物が一堂に会する会「東西交流落語会」は、天満天神繁昌亭にて毎月第1月・火・水曜の夜席(12月まで)、神戸新開地喜楽館では毎月中頃の火・水の夜席(12月まで)で開催いたします。その他にも「東西らくご博覧会」と題し、東京、和歌山、島根、福岡などで公演を行います。
 詳しくは、落語芸術協会、落語協会、上方落語協会のHPにてご確認ください。ぜひ、お近くの 会場にお運びください。

 また、9月15日は、天満天神繁昌亭17周年「大誕生祭」です。
 当日は、11時から3回公演。10時より、記念セレモニーにて、鏡開きが4年ぶりにあります。
振る舞い酒もあります。是非、繁昌亭前にお越しくださいませ。                    

 公益社団法人 上方落語協会
 会長 笑福亭仁智