
月亭遊真 つきてい・ゆうま
大阪府大阪市出身 2015年3月 月亭遊方に入門
どうも! 最近、腰と膝の痛さで年齢を感じている、桂ぽんぽ娘です。
そんなわたしにも若い頃があり、なにを隠そう、入門からわずか4年余りで「将来の名人に聞く」の取材を受け、記事に登場したのでした。(※1)
そんなぽんぽ娘も年齢を重ねて、いまは、「将来の名人に聞く」の聞き手にまわりました。
本当に、時間は残酷ですね。
今回インタビューしたのは、若手!というにはちょっとお兄ちゃんな月亭遊真くん!
2025年6月に決勝が行われた「上方落語若手噺家グランプリ」では、審査委員長の桂文珍師匠の点数が一番高かった、若手の超有望株です。

≪入門前はNSCで漫才を≫
──落語家になろうと思ったのはいつ頃?
「高校を卒業するとき、落語か漫才をやりたかったんです。それで大学に入って落研で落語やってたんですが、中退してしまいまして。そのあと吉本の芸人養成学校、NSC(吉本総合芸能学院)に入学しました」
──NSCでは漫才やってたの?
「はい。ただ、NSCを卒業したからって、吉本の所属にはならないんで、出番があんまりもらえないんです。それに稽古も(相方に)合わせなきゃいけないとかあって。漫才よりやっぱり落語やりたいなって」
≪入門志願は打ち上げ前に≫
──それで遊方師匠に入門を?
「はい。いろんな落語会に行ったんですが、うちの師匠が一番笑いをとってまして。この人の弟子になりたいなって」
──そうなんだ。すぐとってくれた?
「いえ、何回かお願いにいきました。最初、『弟子にしてください』ってお願いにいったとき、うちの師匠、落語会の打ち上げに行く途中だったみたいで。そこでダメっていわれるかと思ったら、『また来て』って、いわれて。そっから何回か通いまして、本名で見習い(※2)になりました」
≪米朝師匠のお葬式で・・≫
──修業期間中、一番つらかったのは?
「まだ見習いだったとき。米朝師匠のお葬式のお手伝いをしたときですね。何やっていいのかわからないから、先輩がたにお酒ついだりして、見よう見まねで動いてたんですが。
気がついたらうちの師匠、帰ってたんです(笑) あれはあせりましたね」
──それは大変だったね。
「はい。そのとき、桂あさ吉師匠が、一升瓶を持ってた僕に言いはりました。
『その一升瓶(いろんな人についで)、空にしたら仕事あげるよ』って。
言われた通り、空にして仕事もらう約束したんですが、こないだ、あさ吉師匠にお会いしてそのことを念押ししたら、覚えてはりませんでした(笑)
──え! 忘れてたの?(笑)
「はい。ただ笛が吹けるようになったのはあさ吉師匠のおかげなので。結果、良かったです」(※3)
≪新作落語を書きたい≫
──将来の夢は?
「新作落語、書いてみたいですね。自分にしか作れない、新しい落語を書いてみたいです」

繁昌亭昼席にて(2025年10月)
<インタビューを終えて>
取材した日は繁昌亭昼席の前座を卒業し、初めて2番目の出番だった遊真くん。
古典落語で爆笑とってる姿を見て、将来どんな新作を書くのか?
気になったそこのあなた!
遊真=UМA(※4)だけに、まだ未確認ですが、一緒に発見しにいきませんか?
文・写真 桂ぽんぽ娘
編集部注
※1 2011年1月発行の「んなあほな」第20号。当時、「んなあほな」は年3回、24ページの冊子で発行し、繁昌亭の売店などで販売していた。
※2 師匠のもとで「見習い」として過ごす数ヵ月間は、いわば試用期間。これをクリアすると正式に入門を許され、芸名を授かる。
※3 寄席囃子で落語家が担当する楽器の中で、笛が最も修練を要する。
あさ吉は上方落語界きっての笛の名手といわれる。
※4 Unidentified Mysterious Animalの略。ネッシー、雪男などの未確認生物の総称。





















