皆さん、こんにちは! 名前は天使、中身は小悪魔。月亭天使と申します。
この度、「んなあほな」編集委員として、新しいコーナーを担当することになりました。
落語家のユニフォーム、舞台衣装といえば、着物。その着物にも、それぞれ、ストーリーがこもっています。
師匠方や芸人仲間に話をうかがうことで、日本の伝統衣装である着物に興味を持ってもらい、ひいては着物を着て、寄席に来ていただけたりなんかしたらうれしいなぁと考え、記事を書かせていただきます。どうぞ、よろしくお願いいたします。
第1回は露の都師匠です。初の女性落語家として常に第一線で活躍され、また、たくさんのお弟子さんを育てていらっしゃいます。
2024年3月には噺家50周年を迎え、6日間(連日3席、計18席)の独演会「露の都・十八番」を大阪・中之島会館で開催されました。
その際には、それぞれのネタに応じて着物を着替えられ、お客様の耳だけでなく、目も楽しませてくださいました。
中でも、個人的に、印象に残ったお着物がこちらです。
赤と黒が印象的な羽織に、古典紋様「れんがくずし」のお着物。シンプルな柄に、爽やかな水色が素敵です!
羽織の背面には「三枡に覗き桔梗」の紋。この羽織は五郎兵衛師匠が着ておられたのと同じデザインで、五郎兵衛一門のお弟子さんは、皆さん、同様の羽織を作られたそうです。
五郎兵衛師匠は、この着物と羽織で落語『初天神』を演じられたとのこと。都師匠も50周年独演会での『初天神』は、こちらの着物で高座に上がられていました。
また、落語家は高座でネタ(落語の噺)に入った瞬間、羽織を脱ぐことが多いのですが、五郎兵衛師匠は『初天神』では羽織を脱がなかったそうです。(なるほど!羽織を着て子供と外へ出かける噺だからかしら!!と、わたくし、感激いたしましたが、「そら、そうやろ」と思われた方いらっしゃいましたら、すみませんです…)
羽織の紐は江戸落語家御用達・上野「道明」のもの。結び方は、男性の落語家とはまた違い、蝶々のように見えます。歌舞伎役者の方がよくされる結び方で、「役者結び」とも呼ばれています。この結び方に合うよう長さを調整していただいたとのこと。羽織紐の結び方一つにもいろいろと種類があって面白いですね。
落語のネタが師匠から弟子に伝わっていくだけでなく、その背景や師匠の考え、想いが次の世代に伝わっていくのを感じとっていただけると、さらに落語が楽しくなると思います。
●ミニ知識●
古典紋様の「れんが」柄、着物ではあまり見かけることがないかもしれません。最近は現代的な柄も多いのですが、やはり古典紋様の、シンプルだけど洗練されたデザインって、可愛くて渋いですよね。また、縁起を担いだ柄が使われてることも多いので、古典紋様についてもご紹介できればと思います。
文・写真 月亭天使