第12回上方落語若手噺家グランプリ(上方落語協会主催)の決勝が6月24日(水)、天満天神繁昌亭の夜席にて超満員のお客様のなか行なわれました。

結果は優勝が桂三実君(写真左)、準優勝が桂九ノ一君(同右)。
三実君は過去に二度準優勝の経験がありますが、今回やっと優勝の栄冠に輝きました。
それでは当日の様子をご紹介しましょう。
文・写真 桂枝女太
この日はあいにくの小雨模様。にもかかわらず会場は満員のお客様で埋まりました。
幕が開き、すっかりグランプリの顔になった司会の笑福亭生寿君が登場すると割れんばかりの拍手。すでに会場は温まっています。
審査委員長の桂文珍師の挨拶のあと出演者全員が舞台で出番順の抽選。

部隊中央に置かれた台に載った8枚の団扇を引き、出番の1番から8番までが決まり順に並んで団扇の仕掛けを開くと・・・。
これはスポンサーへのべんちゃら。

トップは月亭遊真君の「紙入れ」。
舞台に上がるやいきなり本ネタに。新吉の慌てぶりやおかみさんの女の色っぽさがなかなかのもの。


「終わったぜい」
2番手が桂三実君「危ない」。
自身の創作落語で、さすが創作の三実の面目躍如、爆笑に次ぐ爆笑で場内を沸かす。


「ようウケた」
3番手は露の眞君の「蛸芝居」。
こんな大変な噺をグランプリに持って来るか!
踊りの仕草も大したもので最後のタコが逃げて行く場面では場内から大きな拍手が。


「イエーイッ!」
中トリが桂弥壱君の「貧乏花見」。
「蛸芝居」のあとにポピュラーな噺でどうなるかと思っていたが、まことに落語らしい語り口でこれまた場内大爆笑に。


「やっと終わった」

中入り終わりのシャギリ。もちろん出演者も参加(舞台の幕の内側)
休憩をはさんで後半最初は月亭秀都君「癪の合薬」。
武家と下男の可内(べくない)の仲の良さ、武家の人の良さは秀都君の性格がそのまま表れているようでまことにいい感じ。


「グランプリはカラダに悪い」
6番目が桂九ノ一君の「天神山」。
元々技術的には定評のある若手で、今回も申し分なしの高座。
30分以上はかかるこのネタを12分以内に上手にまとめたところはかなり評価が高かった。


「満足、満足」
7番目は笑福亭笑有君「まかない」。
飲食店のアルバイトの若者が店のまかないを食べたいのに食べられない。
そしてついに食べる日が来た。
まかないというテーマだけでひとつの落語を作ってしまうこのセンスはこれからの期待大。


「余裕でした」
そしてトリは露の瑞君の「しじみ売り」。
トップの遊真君同様、座布団に座るないいきなりの本ネタ突入。
通常は蜆を買ってやるのは親方なのだが、そこは女性が演じるので親方のおかみさんに替えている。これが瑞君にドンピシャのはまり具合。とにかく優しさ満開のおかみさん。
今後、彼女の代表作になること間違いなし。


「みずほのホッ」
すべての落語が終わって、二度目の中入りのあといよいよ発表。
優勝の三実君と準優勝の九ノ一君に笑福亭仁智会長から賞状と盾が、そしてアートコーポレーション(株)の寺田千代乃名誉会長から賞金が手渡されました。
寺田名誉会長は「芸の力を感じる。その場が見える」と絶賛。
また仁智会長は「三実君、二度の準優勝やタイムオーバーなどの失敗を乗り越えての優勝おめでとう。九ノ一君はキャリア以上の風格が出てきた。また今日は最高のお客様でした」。
筆者は広報委員でありながら若手育成委員で予選の審査員もしているので噺家の先輩目線で言わせてもらうと、
正直、優勝の三実君も準優勝の九ノ一君ももう少しこうしたらもっと良くなるのにってところはたしかにあります。
でも三実君は14年目、九ノ一君はまだ10年目。このキャリアであれだけの芸ができれば立派なものです。

幕が下りた直後、文珍審査委員長よりアドバイス
当日の一発勝負で決まるコンクール。しかし当日までの演者の長く続く努力。
終演後の記者会見で三実君が言った「もう来年から出なくていいのが一番うれしい」。
このセリフがグランプリの過酷さをなにより物語っています。
来年また多くの若手が一番を目指して戦いが始まります。そう、自分との戦いが。
付記
審査員 桂文珍(審査委員長)
熊谷岳志(NHK大阪放送局ディレクター)
日高美恵(演芸ライター)
福島暢啓(毎日放送アナウンサー)
伊藤史隆(神戸新開地・喜楽館支配人)
恩田雅和(天満天神繁昌亭アドバイザー)
三味線 中田まなみ
鳴物 林家愛染 桂雪鹿
お茶子 杉本佳代




















