入門15周年を迎えた若手落語家が、それぞれ繁昌亭昼席のトリを7日連続でつとめる上方落語協会主催の「翔ぶトリウィーク」が8月下旬に開幕する。大役に挑む5人が8月5日、繁昌亭で開かれた記者会見にのぞみ、意気込みと抱負を語った。
開き直って楽しみたい
「翔ぶトリウィーク」の主役は林家愛染、桂團治郎、桂三語、桂和歌ぽん、桂福点。2009年(平成21)入門組だ。5人は大阪天満宮本殿で興行の成功を祈願したあと、記者会見場である隣の繁昌亭へ。
会見ではまず上方落語協会の笑福亭仁智会長が「昔に比べて落語会が増え、若手の成長が早いと感じる。その若手が実力を存分に見せる企画はないか、検討していた。入門15年という節目にあたり、新しいご贔屓さんを増やし、飛躍の機会にしてもらいたい」とあいさつ。
続いて5人が順々に、やや緊張気味に、あるいは飄々と抱負を述べた。
「周囲からプレッシャーをかけられ、不安でいっぱい」「どうなるかわからないけど、開き直って出番を楽しみたい」「来年からこの企画がなくならないようがんばる」「トリを任せてよかったと言ってもらえる高座にする」などなど、大舞台に向けて期待と不安が入り混じるコメントが並んだ。
大役を担う若手たち
繁昌亭昼席で7日連続してトリをつとめるのは、実績、経験を積み、高い評価を得たごく一部の落語家に限られてきた。大御所、重鎮のほかは、名跡を襲名して披露興行をつとめる者、または芸術祭賞、繁昌亭大賞といったビッグタイトルの受賞者たちである。その大役をまだ若手といわれる世代に託すのは、2006年の繁昌亭開業以来、最も冒険的な試みといえる。仁智会長は「5人とも、いい結果を出してくれると信じている」と期待を込めた。
「翔ぶトリウィーク」では、主役の若手の意向が番組編成に色濃く反映されるのも特色。共演者の顔ぶれ、当日の演目を通して感じられる5人それぞれの個性に注目したい。
噺家15周年 翔ぶトリウィーク 日程
林家愛染 8月26日(月)~9月1日(日)
桂團治郎 9月16日(月)~22日(日)
桂 三語 11月18日〜24日
桂 和歌ぽん 12月2日〜8日
桂 福点 2025年1月20日〜26日
2025年1月からは神戸新開地・喜楽館の昼席でも同じ企画が予定されている。
会見では、この企画にあわせて協会が新調した後ろ幕、幟(のぼり)が公開された。
浅葱色の後ろ幕は、約7m幅の舞台の背景をすっぽりおおうビッグサイズ。
文・林家 竹丸