記者 「六代文枝師匠へ入門したのは2009年の?」
三語 「12月です」
記者 「同期組では一番遅い方なんや」
三語 「そうですね」
記者 「やっぱりオチケンから?」
三語 「いや、僕大学時代はサッカー部でした」
記者 「そやそや、自分サッカー得意やったもんな。ほな高校のときオチケンとか」
三語 「いや、ずっとサッカーやってました」
記者 「そのサッカー少年というか青年がなんで落語家になろうと思ったん?」
三語 「実は大学出てからちょっとNSCにおったんですよ」
記者 「出ましたNSC!吉本総合芸能学院。結構落語家でNSCにおったいう人多いもんな」
三語 「そうなんですよ」
記者 「昔は高校か大学のオチケン出が落語界のエリートやったけど、今はNSCと東住吉高校芸能文化科出がエリートやもんな」
三語 「いや全然エリートやないですけど。そこで初めて師匠の落語を見たんです」
記者 「当時はまだ三枝やったんよね。それで感動して入門?」
三語 「いやそやないんです。その当時僕がよう行ってた串カツ屋さんに三輝兄さんがよう来てはったんですよ」
記者 「あのカナダ人の」
三語 「そうなんです。ほんで無茶苦茶リクルートされたんですよ。あんまり言うからいっぺん見てみよと思って枚方やったかな、師匠の独演会見に行ったんが初落語なんですよ」
記者 「それが入門のきっかけになったんや。三輝君が縁を繋いでくれたわけや」
三語 「そうですね」
記者 「師匠のもとに結構長いこといてなかった?」
三語 「そうなんですよ、ちょうど師匠の襲名の時期に重なってたんですよ」
記者 「あそうか、三枝兄さんが六代文枝を襲名したんが2012年やからその準備の時期と重なってるんや」
三語 「おまけにすぐ上の兄弟子が三輝兄さんで外国人やないですか。ほんで1年ちょっとして入ってきた弟弟子が世界のナベアツでタレントとして活躍してる人やないですか。なんか師匠としても僕に一番もの言いやすいんやと思うんですよ。せやから無茶苦茶怒られましたよ」
記者 「ホンマに? ぎょうさんいてる弟子の中では君が一番きびきび動くし気が利くし、一番のお気に入りやとみんな思もてるで」
三語 「そんなことないですよ、ホンマ無茶苦茶怒られましたよ」
記者 「君の言うように一番言いやすかったんやろな」
三語 「そや思います。せやから5年近く付いてたと思います」
記者 「けど襲名のときに君がおって助かった思うよ。初舞台は?」
三語 「初舞台は師匠の会でした」
記者 「え、それって結構大きなところと違うん?」
三語 「そうですよ、大きな舞台が初舞台やったんで今でも大きな舞台は緊張しませんけど、逆に小さい舞台の方が緊張するんですよ」
記者 「なんで?」
三語 「そうかて小さい舞台ってすぐ目の前にお客さんいてるやないですか。メチャ緊張しますよ」
記者 「そんなもんかなぁ、僕ら大きい方が緊張するけど」
三語 「それも急に言われたんですよ、明日おまえトップで出ぇって」
記者 「そんな急に?」
三語 「それからもちょいちょいあるんですよ、そういうことが」
記者 「師匠にしてみたら自分の会やもんな、トップでちょっとやってみぃって、有り難い話しやん」
三語 「度胸はつきましたね」
記者 「さて、15周年に向けてですが」
三語 「なんか実感ないんですけど、自分で番組を作ってるときに初めて実感湧いてきましたね。一発目やから絶対失敗でけへんて」
記者 「みんなそれ言うわ」
三語 「今まであんまり自分で創作落語は作ってなかったんですけど、これからは自分のネタも作っていきたいですね」
記者 「11月18日から24日までの一週間、来年は神戸の喜楽館もあるけど、寄席でのトリを楽しんでください。有り難うございました」
落語にマスコミにと超売れっ子の師匠のもとに入門すると、かなりハードな修行が待ち構えているとは思いますが、
それに加えて落語家として最大のイベントともいえる襲名を控えた中での弟子修行。
彼やからこそ乗り切れたのかなと思います。
そんなバイタリティのある彼のトリの姿、楽しみです。
文・桂枝女太